本研究では、土の移動を伴わない反転耕うんを実現するためのプラウを開発した。 1.コールタ、刃板、プラスチック主発土板、鉄製前部副発土板、自由回転後部円盤を構成要素とする模型を作成し、土槽を用いて実験を行った。塑性的な土壌条件ではその場反転可能であったものの、主発土板よりも前部副発土板の抵抗が2倍近くあったこともあって、破砕されやすい土壌条件では詰まりをおこした。(研究発表済) 2.1)中心の移動を全く伴わないその場反転、2)中心の移動を若干伴うその場反転、3)従来のプラウの反転の3様式において、れき土が生成されると仮定した場合の、れきを基準とする座標系に投影された曲率成分を計算した。1)は曲率成分は変化するが絶対値は大きくないので適、2)は急激な曲率の変化を伴うために不適と見なされた。3)の曲率成分はほぼ一定で、従来型のプラウの安定性を裏付けた。結果として1)を採用することに決定したが、反転の前半部で曲率成分の符号が逆転し、れき土の破砕が起こりやすく不安定になることが判明したため、この部分に装置の工夫が必要と判断した。 3.2.の結果をふまえ、コールタ、刃板、プラスチック主発土板、進行方向に対して傾けたコールタ、プラスチック後部副発土板を構成要素とする模型を作成し、土槽を用いて実験を行った。傾けたコールタを刃板よりもやや深く設置すると、回転運動に伴って破砕されやすい土壌条件のれき土も、後部へ問題なく排出され反転が実現した。 4.3.と全く同じ構成要素をもつ寸法が2倍の実機を製作した。現在トラクタに装着して実験中である。残渣と雑草が残る砂質ロームの圃場で反転を確認した。今度はとくに、スケールアップに伴う問題点の抽出、表面の残渣処理、耕深の変化への対応方法などに重点が置かれる予定。
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