研究概要 |
電磁場の植物成長に与える影響を調べるために,各種磁場印加時の種子の発芽数の計測を行った。種子はコマツナを用い,温度湿度の制御可能な環境室内で,播種後全ての種子が発芽するまで毎1時間について発芽勢の測定を行った。測定はCCDカメラを用いて記録し,発芽数のカウントはモニタ上で目視で行った。発芽勢は時間当たりの種子発芽数と定義した。 実験に先立ち,地磁気の強度及び周波数成分の測定を行った。磁場測定はガウスメータを用い,出力値をA/D変換して処理を行った。その結果,平成9年秋の岡山での地磁気強度は約45μT,うち垂直成分約35μTで,広域の周波数成分を含む複合波形を示し,特に1Hzより短い周期の帯域に注目してみると,20Hz近辺にピークを持ち50Hzくらいまでの成分を持つことが分かった。 実験にはこれらバックグラウンドが少なからず影響すると考えられたが,効果的なシールドの導入目途が立たないため,同一環境下にある対照区との比較実験をすることにした。 印加磁場の周波数には1Hzから1kHzを用い,強度は地磁気の1/10レベルから最大10倍,波形は単一方向パルス状のものを用いた。印加は膜種から発芽までの期間連続して行った。 その結果,発芽勢は1〜100Hz印加時が100〜1kHz印加時よりも高く,特に10Hz印加時にピーク値を得,最大20%の対照区よりも高い発芽勢の値を得た。また,磁場強度に関しては10Hz印加時において地磁気と同レベル以上で有意な影響を与えることが分かり,それよりも小さい強度では発芽勢に対して影響を及ぼすことはなかった。
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