1. 穴播き式不耕起播種機の利用を想定したダイズ栽培S圃場試験を前年に引き続き実施した。収量は不耕起栽培>耕起栽培となり、前年と同様に不耕起栽培の優位性が認められた。穴播き式の播種穴は、試作機が土壌表面に作用した時できる穴の大きさと形状を参考に手押し式の凸子で作成した。そのため平成10年度に作付けした穴播き式の播種穴は、前年度に比べ容積が173程度であった。 (1) 穴播き式は緩効性肥料を施用しても出芽率が大幅に低下した。 (2) 穴播き式は筋播き式に比べ草丈の伸び、葉色ともに劣り、収量も40%程度になった。 2. 肥料の種類および施肥量と出芽率の関係を把握するため、ワグネルポットを使用して出芽試験を行った。緩効性肥料であっても削減量が1/2程度では、出芽率は向上しなかった。なお、圃場試験で出芽率が影響を受けなかった筋播きは、種子周辺の肥料量が標準施用量(全面全層施肥)の1/14.4であった。 3. 試作機の改良を継続して行った。試作機は作穴部と導管を兼ねた播種部が1つの部位として土壌表面に刺さり作穴と播種を同時に行うが、この時播種部に土壌が侵入する。各種改良を加えても土壌の侵入を完全に防止するのは困難であった。 穴播き式では種子周囲に肥料を施用するため、その成分は対象作物のみが利用できると考えられる。今後は、出芽率およびその後の生育に影響を及ぼさない範囲の施用可能最大量を把握する必要性が明確になった。試作機の改良に関しては、播種部に侵入した土壌を完全に排出できるように行うという方向性が確認できた。
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