研究概要 |
ハイブリッドネピアグラス(パールミレット×ネピアグラス,HN)は,種子繁殖で盛夏期の乾物生産性が高いが,低粗蛋白含量の改善を目指し,HNとの混植適応性の高い直立型マメ科牧草を探索した。 HN(系統BG-4,以下Hy4)と市販のクロタラリア(C),ピジョンピー(P),セスバニア(S)の各単植および混植区を設け,栽植間隔は25cm,刈り取り高さは20cmと40cmの2段階とした。群落の乾物生産性,構造ならびにin vitro乾物消化率(IVDMD)と粗蛋白質(CP)含量の飼料品質を比較した。 1.収穫部の乾物収量は,Hy4単植区に比べ,混植区のCとSとでは約40%,Pとでは約50%低下した。これは,マメ科草の収量が低く,Hy4も混植の組合せにより抑制されたためであり,特にSでは強く抑制された。再生草収量は,高刈りの40cmで高く,草種間差はHy4>C>P>Sの順であった。 2.1番草の葉群の分布は,Hy4に比べSは高く,Pはほぼ等しく,Cはやや低くなり,平均葉群傾斜角はHy4で最も高く,Cで最も低くなった。すなわち,上位層に直立葉型のHy4を,下位層に水平葉型のCを配置するHy4-C混植区が,より効率的な群落構造を示した。 3.最上位葉の真の光合成能力は,Hy4>S>C=Pの順であったが,Cではみかけの量子収率が最も高く,陰葉化に適応した光合成特性を持つことが示唆された。 4.層別のIVDMDとCP含量は上位層ほど高くなったが,CとHy4の層間差は小さかった。Invitro可消化乾物収量(IVDDMY)はHy4単植に比べ,マメ科草の単植あるいは混植により低くなったが,CP収量の区間差はIVDDMYに比べ縮小した。これは,混植によりHy4のCP含量が葉身,稈ともに高まる傾向が認められ,また,マメ科草の葉身のCP含量が高いことによっていた。 5.以上の結果,1番草の飼料品質の改善を目指し,Hy4に混植するマメ科草として,群落構造,個葉光合成特性,飼料品質の層間差,刈取り再生能力などから,Cの高刈り体系が最も有利と示唆された。
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