研究概要 |
1.ブタ胚のCD44タンパク検出系の確立 抗ヒト、マウス、ラットおよびウサギCD44抗体を用いてウエスタンブロット法を行った。その結果,ブタCD44検出系として抗マウスCD44抗体が有効であることが知られた。 2.ブタ胚の発生に及ぼす種々のグリコサミノグリカンの影響 体外成熟-体外受精ブタ卵子の胚盤胞への発生に及ぼす4種のグリコサミノグリカンの影響を調べた。0.5mg/mlヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸A,デルマタン硫酸あるいはヘパリンを添加したWhitten′s培地中で,体外成熟-体外受精ブタ卵子を6日間培養した。培養2日後,いずれの培地においても21〜28%の胚が正常に卵割し,2〜4細胞期へと発生した。培養6日後,ヒアルロン酸添加区では14%が胚盤胞へと発生し,デルマタン硫酸添加区(5%)およびヘパリン添加区(2%)に比べて有意に高い値を示した。しかし,コンドロイチン硫酸A添加区(11%)との間には差は認められなかった。ヒアルロン酸およびコンドロイチン硫酸Aを添加した発生培地において最も高い胚盤胞への発生が認められたことから,体外成熟-体外受精ブタ卵子の胚盤胞への発生におけるヒアルロン酸あるいはコンドロイチン硫酸Aの至適濃度を調べた。0,0.05,0.1,0.5あるいは1mg/mlヒアルロン酸あるいはコンドロイチン硫酸Aを添加したWhitten′s培地中で,体外成熟-体外受精ブタ卵子を6日間培養した。その結果,胚盤胞への発生率は,0.5mg/mlヒアルロン酸添加区(17%)および0.1あるいは0.5mg/mlコンドロイチン硫酸A添加区(10あるいは9%)において最も高い値を示した。以上の結果から,ヒアルロン酸およびコンドロイチン硫酸Aは体外成熟-体外受精ブタ卵子の胚盤胞への発生を促進することが明らかとなった。
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