虚血性心疾患の発症あるいは増悪に関与する因子として、フリーラジカルが注目されている。生体内の虚血心筋の細胞内エネルギー代謝をよく反映する試験管内モデルにおいて発生が予想されたフリーラジカル分子種の同定および定量を行った。 【材料と方法】C2C12筋芽細胞を分化させた筋芽細胞を40mMのDMPOを含むPBS中で培養し、1mMのヨード酢酸(IAA)および2mMのシアン化ナトリウム(CN)を負荷して化学的な虚血状態にした後、1時間毎に培養上清を採取してESR法によりスピンアダクトを定量した。 【結果ならびに考察】処置1時間後には培養上清中にDMPO-OHアダクトならびにDMPOと炭素中心ラジカルのアダクト(DMPO-R)が検出され、これらのESRシグナルは経時的に増強された。この培養系に鉄のキレーターであるデフェロキサミン(1mM)を添加すると、DMPO-OHとDMPO-RのESRシグナルはいずれも消失し、TBARSならびにLDH放出は有意に抑制された。一方、シアン耐性のMn-SOD(10U/ml)にはこの様な効果は認められなかった。以上のことから、虚血状態に陥ったC2C12筋管細胞では、鉄イオンを介した反応(フェントン反応)によりヒドロキシラジカルや炭素中心ラジカルが発生し、これらのラジカルが脂質過酸化反応などを介して細胞障害をもたらすことが示された。これらのデータは現在投稿準備中である
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