食品産業において発生した加工残滓廃棄物の中には、食品としての機能(摂取可能なエネルギーや栄養など)が多量に残留しているものが多い。本研究では、加工残滓廃棄物から可食部分(未利用食糧資源)を分離回収し、さらに、再資源化することを目的とした。 食品産業において発生する加工残滓廃棄物のモデルとして魚の頭部を用い、可食部分の分離・回収を検討した。まず始めに、自作のハンマーミルを用いて、試料の凍結粉砕(粉砕温度:-80〜-40℃)を行った。次に、得られた粉砕物を低温実験室内で、標準ふるいを用いて粒子径ごとに分級した。分級後の粉砕試料の一般組成(脂質含有量、蛋白質含有量、水分、灰分など)を粒子径ごとに測定した。その結果、-60℃付近で凍結粉砕し、適切な目開きのふるいで分級することにより、魚の頭部中の可食部の約70〜80%が回収可能であることが明らかとなった。さらに、非可食部のフラクションに混入した可食部の大部分が脂肪組織であることも明らかとなった。 次に、凍結粉砕時の優先粉砕メカニズムを記述する数学モデルを構築した。このモデルにより、試料中の各組織が優先粉砕される条件(凍結粉砕温度など)やそのメカニズムを明らかにすることができた。 さらに、分離回収した可食部分を魚肉練り製品の製造手順に従ってゲル化させたところ、カマボコ様の魚肉ゲルが形成された。以上の結果より、加工残滓廃棄物に含まれる未利用食糧資源の回収および再資源化の可能性を示すことができた。
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