研究概要 |
グルタミン酸トランスポーターは神経伝達物質であるグルタミン酸の能動輸送を担う膜タンパク質であり、グルタミン酸による興奮伝達の終焉、グルタミン酸による神経細胞死の回避などの重要な役割を果たしている。本研究は、線虫Caenorhabditis elegansのグルタミン酸トランスポーター遺伝子を破壊し,他生物種のグルタミン酸トランスポーター遺伝子を導入したトランスジェニックネマト-ダを作製することにより、有用物質探索のための生物検定法を確率することを目的とする。そこで、本年度は、C.elegansに導入する遺伝子を得るべく、昆虫類であるキイロショウジョウバエのグルタミン酸トランスポーター遺伝子のクローニングと解析を行った。 報告者が既にクローニングしたC.elegansのグルタミン酸トランスポーターと哺乳動物のものとの相同領域に着目し、RT-PCRによりショウジョウバエグルタミン酸トランスポーターの部分cDNAを得た。次いで、得られた塩基配列情報を基に、cDNAライブラリーのスクリーニングを行い,ほぼ全長のcDNAを得た。ショウジョウバエのグルタミン酸トランスポーター(Dglut-1)は473アミノ酸残基よりなり、既存のグルタミン酸トランスポーターと40-50%の相同性を示した。また、アフリカツメガエル卵母細胞の発現系を用いて、トランスポート活性を測定したところ、C.elegansのものと同等の活性を示した。また、ノーザン分析により卵から成虫にいたる全てのステージで発現していることが判明した。また、ゲノミックサザン分析の結果、Dglut-1遺伝子は1コピーであることが明らかにとなった。
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