肢芽のパターン形成を解明するため、とくに筋の分化パターンおよび神経の分枝パターンを、主にニワトリを用いて解析を行ってきた。多くの実験的に作られた前後軸についての重複肢ならびに背腹軸についての重複肢の筋のパターンを連続切片を作製することによって形態の立体的な配置についてのデータを集積した。また、培養したウズラ筋芽細胞を、ニワトリの正常肢芽ならびに筋節を除去することによってできるmuscle-lesslimbに移植することによって、筋と神経の分化パターンの解析を行った。これらの筋芽細胞は、正常筋芽細胞と同様にふるまい分化し、それらに対する神経の支配様式なども正常肢と同様であることを確認した。筋芽細胞の移植量を増やしたときにどのような形態的な影響がでるかなどについて実験をおこなっているところである。 また、翼の形成が不完全なwingless(Japanese wingless;Jwg)を用いて筋と神経について解剖学的に調査した。表皮の形成パターンならびに骨のパターンなどから、この異常は一度できたAEがそのまま維持されず、とくに尾側で消失することによっておこるということを明らかにし、その一部はすでに学会等で発表してきた。Jwg mutantの解析は、筋と神経の正常肢芽の形成パターンについての十分なデータの蓄積の上にはじめておこなうことができたと考えている。 以上のことについて現在データを整理し、論文準備中である。
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