研究概要 |
タイト結合(TJ)の膜蛋白であるオクル-ディンの(OC)は、N未とC未を細胞質側に向け細胞膜を4回貫通しており、2つの細胞外ドメインElおよびE2を持っている。ElあるいはE2ドメインを欠失するOC(各々をE2OC,ElOCと呼ぶ)を作製し、ファーウエスタン法にて、欠失がOC同士の蛋白一蛋白相互作用におよぼす影響を調べ(平成9年度)、さらに、これらをMDCK細胞に発現させて(平成10年度)、タイト結合における機能的・形態的変化を調べることでこれらのドメインの機能を解析しようとしている。 ファーウエスタン法のために、OC,E2OC,E1OCをGSTとの融合蛋白として発現させた。しかし、OCの発現はうまくいかず、他の2つも発現が弱くさらに検討中である。そこで、先にMDCK細胞での発現を行った。内因性のOCと区別するためにN末にmyc夕グを付与した。その結果、以下のことがわっかた。 1.mycOCは、TJ領域に局在化するが、mycElOCとmycE2OCは、細胞膜へは行かず細胞質中に点状に分布していた。ただし、mycElOCとmycE2OCの発現は非常に弱い。 2.細胞間の透過性を示す電気抵抗値は、mycOCとmycElOCは低下し、mycE2OCは上昇した。 OCを過剰発現すると電気抵抗値は上昇するといわれており、今回の結果と食い違う。現在、これらのトランスフェクタントについて生化学的、形態学的に検討中である。また、TJの裏打ち蛋白であるZO-1およびZO-2についても実験を進めている。 生体でのTJの形成過程をフリーズフラクチャーで見ると、TJのストランド付近やストランド中にギャップ結合のプラークが見られることがあり、両者の密接な関係を示唆している。今回、エナメル芽細胞についてギャップ結合の構成蛋白であるconnexin43の分布を調べ報告した。
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