培養ヒト大腸上皮細胞HT29をHMG-CoA阻害剤であるプラバスタチン存在下で培養し、CFTRの細胞外ドメインに対する抗体により免疫染色を行いCFTRの形質膜への発現をフローサイトメトリーおよび蛍光顕微鏡を用いて調べた。プラバスタチンの投与により、形質膜への発現の低下が認められたものの、現在使用している抗体(業者に委託した、CFTRの細胞外ドメインに対する抗ペプチド・ポリクローナル抗体)では、良好な染色像が得られにくいことが明らかになった。現在、新たに細胞外ドメインに対するモノクローナル抗体の作成を試みている。また、CFTRの細胞外ドメインに、既存の抗体に対するエピトープを挿入して、その抗体を用いて形質膜への発現を確認する方法が最近報告された。私達も、同様の手法を用いて現在FLAGエピトープもったCFTRを発現する培養細胞系の確立を行っている。また、機能の面では、プラバスタチン存在下でHT29を培養するとcAMPにより活性化されるCl^-透過性が低下することが、Cl^-感受性蛍光色素SPQを用いて観察された。このプラバスタチンの効果から、CFTRの形質膜発現に関して低分子量GTP結合蛋白質の関与が示唆されたが、新たに確立している抗体あるいはFLAGエピトープもったCFTR強制発現細胞を用いて、より詳細な解析を行っていきたい。
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