アンチセンスDNAを導入してSGを減少させた骨格筋由来の培養細胞を用いた実験系を作成した。サルコグリカン欠損細胞に伸展刺激をくわえるとこれらの欠損細胞は傷害をおこし細胞からクレアチンキナーゼの漏出をおこし心筋症や筋ジストロフィーの病態モデルとして利用できることが明らかとなった。 アデノウィルスベクターを用いてBIO14.6ハムスター骨格筋にδ-SG遺伝子を導入したところ、4種すべてのSGが細胞表面膜に正常ハムスター骨格筋と同様に発現しδ-SG遺伝子導入により他のSG欠損が相補できることが明らかになった。 さらにα1-syntrophin(Syn)と呼ばれる別のジストロフィン複合体タンパク質の機能についても検討した。synそれ自身がアクチン、カルモデュリンと結合することを明らかにし、それぞれの結合部位を同定した。アクチン結合部位は2ヵ所、PH2ドメインを含む領域(アミノ酸274-315)およびSUドメイン(アミノ酸449-505)でKdはそれそれ0.15PMと0.5ドMであった。カルモデュリン結合部位も2ヵ所あり、カルモデュリンとの親和性が低い(Kd 0.3μM)PHlaドメイン(aa.1-38)と親和性の高い(Kd15nM)PDZドメインの各々がsynのカルモデュリン結合に寄与していることが明らかになった。
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