研究概要 |
実験1 月経周期の長さと体脂肪率との関係 [目的]月経周期の長さとの体脂肪率とが相関する否かを検討する [方法]19〜20歳の女子大学生107名を被験者とした。被験者の基礎体温および月経時期を3サイクルにわたって調査した。月経時期と体温、尿中プロゲステロンおよびエストラジオール排泄量から排卵日を推定し、卵胞期と黄体期の長さを定めた。月経周期の長さおよび平均基礎体温と体脂肪率との関係を調べた。また、摂取栄養素量が卵胞期と黄体期で異なるか否かを調べた。 [結果]被験者の月経周期は29.9±0.2日、体脂肪率は25.1±0.1%であった。月経周期の長さと体脂肪率は有意に正相関した(r=0.36,P=0.0002)。一方、卵胞期あるいは黄体期の平均基礎体温と体脂肪率とは、いずれも有意な相関は見られなかった。摂取栄養素量および摂取エネルギー量には卵胞期と黄体期の間に差を認めなかった。 [結論]月経周期の長さと体脂肪率とは関係(正相関)があることが示唆された。 実験2 月経周期が安静代謝と食事誘発性体熱産生におよぼす影響 [目的]安静代謝と食事誘発性体熱産生が卵胞期と黄体期で異なるか否かを検討した。 [方法]健康で月経周期が安定している女子大学生10名を被験者として、卵胞期を黄体期の早朝より、間接的熱量測定法により安静代謝と食事誘発性体熱産生を測定した。また、試験食の摂取前後に採血し、血中基質の食事摂取てい対する反応を調べた。 [結果]安静代謝は卵胞期に比べて黄体期で有意に高値を示した(63.2±1.9vs.67.6±1.5J/kg/min,p<0.01)。また、食事誘発性体熱産生も卵胞期に比べて黄体期で有意に高値を示した(3.10±0.63vs.4.07±0.71kJ/kg,p<0.05)。血糖値、血清インスリンおよび中性脂肪濃度には、月経周期による差異を認めなかったが、血清遊離脂肪酸濃度は卵胞期に比べて黄体期で高い傾向にあった。 [結論]月経周期は安静代謝および食事誘発性体熱産生に影響を及ぼすことが示唆された。
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