研究概要 |
本年度は,trp関連蛋白アンチセンス導入の基礎実験として以下の2項目を行った. ・血管内皮細胞のCa^<2+>流入機構の解明には,Fura-2による細胞内Ca^<2+>濃度の測定とパッチクランプによるイオン電流記録が不可欠である.今年度は,両者の同時記録法を収得し,それを用いてアゴニスト刺激による容量性Ca^<2+>流入とイオン電流の活性化を記録した.その結果,容量性Ca^<2+>流入とCl^-電流の活性化に何らかの機能的相関があることを見いだした. ・アンチセンス導入の予備実験として,分子生物学的な実験技術を収得するために,既にクローン化された心筋内向き整流KチャネルのmRNAを培養細胞に導入・発現させ,パッチクランプ法による電流記録を行った.また,血管平滑筋細胞の細胞膜Caポンプに対するアンチセンスを作成し,ヒト大動脈内皮細胞へ導入した.我々の研究室では既に,内皮細胞の細胞内Ca^<2+>排出機構において細胞膜Ca^<2+>ポンプの果たす役割は相対的に低いものとの情報を得ているが,本実験結果もそれを支持するものであった. 来年度は,実際にtrp関連蛋白のアンチセンスを作成し,これを培養内皮細胞に導入して,容量性Ca^<2+>流入がtrp関連蛋白によるものか否かを検討する予定である.
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