研究概要 |
リアノジン受容体は細胞内小胞体(ストア)に存在しているカルシウム放出チャネルである。リアノジン受容体には1型(骨格筋)、2型(心筋)、3型(脳)のサブタイプがあり、ザブタイプ間に高いアミノ酸配列の相同性(〜70%)を示す。骨格筋の収縮はT管にあるジヒドロピリジン(DHP)受容体からの電気信号が小胞体にあるリアノジン受容体に伝わり、そこからCa^<2+>が放出されることにより引き起こされる。この一連の過程は興奮収縮連関と呼ばれているが,DHP受容体からどのように情報を伝えるかについて分子機構の実体が明らかでない。遺伝子標的組換えにより作成された1、3型リアノジン受容体欠損マウスの培養骨格筋細胞を使って興奮収縮連関の機能を担う1型リアノジン受容体の一次構造上の部位の同定を行った。 1型リアノジン受容体のアミノ酸配列1303〜1406付近(D2領域)の相同性は、1型と2型では〜20%、また、3型はその部分のアミノ酸配列が欠損しているというように、アミノ酸配列の相同性は低いことが報告されている。この、D2領域が骨格筋型興奮収縮連関にどのように関与しているかを調べるため、D2領域を削除した、あるいは同じ領域を2型に置換した1型リアノジン受容体変異遺伝子を作製し、それらをリアノジン受容体が全欠損している培養骨格筋細胞に発現させて、機能を解析した。その結果、D2領域は、カフェインによるCa^<2+>放出に必須ではなく、1型と2型リアノジン受容体の興奮収縮連関におけるの機能的差異を決定する部分でなく、D2領域を欠損すると電気刺激による反応がなくなることより、興奮収縮連関機能に必須なアミノ酸配列の1つであることが明らかになった。これらの結果は、J.Biol.Chem.に掲載された。
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