リアノジン受容体は細胞内小胞体(ストア)に存在しているカルシウム放出チャネルで、1型(骨格筋)、2型(心筋)、3型(脳)のサブタイプがある。骨格筋の収縮はT管にあるジヒドロピリジン(DHP)受容体からの電気信号が小胞体にあるリアノジン受容体に伝わり、そこからCa^<2+>が放出されることにより引き起こされる。この一連の過程は興奮収縮連関と呼ばれているが、DHP受容体からどのように情報を伝えるかについて分子機構の実体が明らかでない。本研究は、骨格筋型興奮収縮連関の分子機構を解明する目的で、遺伝子標的組換えにより作成された1、3型リアノジン受容体欠損マウスの培養骨格筋細胞を使って興奮収縮連関の機能を担う1型リアノジン受容体一次構造上の部位の同定を行った。 リアノジン受容体は、サブタイプ間に高いアミノ酸配列の相同性を示すが、数箇所の領域(D1、D2、D3)では、アミノ酸配列の相同性は低いことが報告されている。平成9年度は、1型リアノジン受容体のD2領域を欠損すると電気刺激による反応がなくなることより、骨格筋型興奮収縮連関に必須なアミノ酸配列の1つであることを明らかにした。今年度は、D1領域が骨格筋型興奮収縮連関にどのように関与しているかを調べるため、D1領域を削除した1型リアノジン受容体変異遺伝子を作製し、同様の方法で解析した。その結果、電気刺激による反応だけでなく、カフェインによる反応も消失した。そこで、より正確なリアノジン受容体機能を調べるため、低親和性色素であるfuraptraを用いた細胞内Ca^<2+>ストア内腔のCa^<2+>濃度を測定することを考え、細胞内Ca^<2+>ストア内腔のリアルタイムイメージングの実験系を確立した。現在この方法で、リアノジン受容体機能解析を進めている。
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