研究概要 |
シクロペンテノン型PGは現在使用されている抗癌剤とは全く異なる作用機序を有する強力な抗癌剤である。トランスポーターにより細胞内に取り込まれ、核に移行し核内でp21を誘導し、p53非依存的に細胞周期をG1期で停止させる。これはPGE1,PGE2,PGF2a PGD2などの細胞表面にある受容体に作用する古典的PGとは全く異なる作用である。この型のPGではトランスポーターが極めて重要な意味を持つが、その実体は明らかでない。我々のクローニングしたプロスタグランジン トランスポーター(PGT)がこの過程に関与しているかどうか検討するため、ヒトPGTの安定発現株を作成した。 本年度はヒトPGTへの親和性がPG誘導体のどのような構造と相関するのか基本的な情報を得た。33種類のPG誘導体について検討した。PGTへの親和性を低下させると思われる特徴的な構造は、16位の3級炭素、C15位のケト基、C15位のメトキシ基、C6位のケト基、α鎖末端カルボキシル基のエステル化、Δ13二重結合の還元体の6構造であった。 シクロペンテノン型PGのPGTへの親和性は、PGA1約2uM、PGA2約1uM、PGJ2約4uMであった。今後、PGT安定発現株と非発現株におけるPGA1への感受性の違いを検討する予定である。
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