記憶学習機能と海馬でのPKC活性の低いDBA/2マウスと、それらの高いC57BL/6マウスに高頻度電気刺激をin vivoマウス海馬歯状回に適用して長期増強現象を比較してみると、強い高頻度電気刺激による長期増強現象にはDBA/2マウスとC57BL/6マウスに有意差は認められなかったが、弱い高頻度電気刺激ではC57BL/6マウスにのみ長期増強が発現し、DBA/2マウスには短期増強しか発現しなかった。又、PKCの基質蛋白のF1/GAP-43の燐酸化程度はC57BL/6マウスよりDBA/2マウスの方が低かった。よって、マウス海馬歯状回の長期増強現象におけるPKCとF1/GAP-43の重要性が示唆された。 神経再生、軸索延長、神経伝達物質遊離等の機能に関与するF1/GAP-43は、in vivoマウス海馬歯状回で長期増強発現2、3日後に門の苔状細胞で発現産生され軸索輸送によって歯状回顆粒細胞樹状突起内側層に移行した。よって、海馬歯状回と門におけるF1/GAP-43の長期増強現象における役割機能が示唆された。
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