昨年度の実験で作製した「カセット構造化」したリアノジン受容体(RyR1)cDNAの1番、4番、11番に緑色蛍光蛋白質(GFP)のcDNAを連結して、RyR1のGFP融合蛋白質をコードするcDNA(4種類)を作製し、培養細胞(HEK293、CHO)に強制発現させた。 その結果、RyR1のアミノ基(N)末端、カルボキシル基(C)末端(C末端より14アミノ酸削除したものとC末端完全長のもの)、及びD2領域(N末端より1397番目のアミノ酸位)にGFPを融合させた蛋白質が、生きたままの細胞で細胞質に点在するRyR1の分布が可視化・定量化できるようになり、個々の細胞で分布/発現量に顕著な差異があることが判った。更に、RyR1作用薬である4-chioro-3-ethylphenol(4-CEP)によるCa^<2+>放出能の有無を調べたところ、4種類のGFP融合RyR1蛋白質の内、D2領域後半部位にGFPを融合させたRyR1を発現させた細胞だけが4-CEPによるCa^<2+>放出機能を保持していたので、このD2領域後半部位にGFPを融合させたRyR1を発現させる実験方法を用いれば、GFP蛍光による詳細なRyR1の細胞内分布と発現量の解析ができ、同時に細胞内Ca^<2+>シグナルの空間・時間的な変化の関係を調べることも可能であるが判った。逆に、RyR1のC末端、N末端にGFPを融合させた蛋白質を発現させた細胞では4-CEPによるCa^<2+>放出能が損失、もしくは強く抑えられていたので、RyR1の両端(特にC末端)がCa^<2+>放出能に重要な領域であることが判った。
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