1. ルシフェラーゼアッセイ及びEMSAの結果から、ステロールによるSE遺伝子の制御にはステロール感受性エレメント結合タンパク質(SREBP)とNF-Yの少なくとも二つの転写因子が必要であることがわかった。 2. HeLa細胞において、酸化ステロールをリガンドとする核内受容体LXRを大量発現させると、LXRE(LXR-response element)は強く誘導されるが、SEプロモーターは強く抑制された。また、様々な酸化ステロールのLXREに対する誘導能と、SEプロモーターに対する抑制能は相関していた。これらの結果はLXRによりSEがネガティブに制御されていることを示唆している。また、LXREのもっとも誘導能の高いリガンドはエポキシコレステロールであったことから生理的リガンドである可能性が高いと考えられる。エポキシコレステロールはSEとその後に位置するラノステロール合成酵素の活性比によって生成量が変化するため、これらの遺伝子mRNAの組織特異性を調べたところ全く異なっていることがわかった。特にステロイドホルモン産生臓器で蓄積していると考えられ、酸化ステロールをリガンドとするもう一つの核内受容体SF-1の生理的リガンドである可能性を示している。 3. 酵母のMetabolic Interferenceを用いて、先天奇形の一つSmith-Lemli-Opitz(SLO)症候群の原因遺伝子と推定されているステロールΔ^7還元酵素cDNAの単離に成功し、現在解析を進めている。またSE遺伝子は8q24.1に位置することを見出し、その位置にマップされるLanger-Giedion症候群、trichorhinophalangeal症候群typeI、遺伝性multiple exostosesとの関係についても解析を進めている。現在二つの遺伝子ノックアウトマウスの作製に向け準備中である。
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