研究概要 |
本研究では。KruppelタイプZnフィンガー転写因子の特徴的な構造を標的とした、RT-PCR法による高感度かつ効率の良いクローニングシステムを確立し、多くの新しいKruppelタイプZnフィンガー遺伝子を単離した(論文投稿中)。次にいくつかのクローンの全長cDNAを単離したところ、2つの新規遺伝子Mszf42,49が、Kruppel associated box(KRAB)と呼ばれるドメインを持つサブファミリーに属し、また他の1つの新規遺伝子Mszf35が、Leucin rich repeat(LeR)と呼ばれるドメインを持つことが明らかになった。そこでこれらの因子が転写に対してどのような調節機能を有するか調べるために、これらの因子と酵母GAL4蛋白のDNA結合ドメインとの融合蛋白が、GAL4結合配列を上流に持つレポータープラスミドの転写活性に及ぼす影響を、ルシフェラーゼアッセイにより検討した。その結果、KRABを持つMszf42と49は濃度依存的かつGAL4結合配列に依存して転写を抑制すること、逆にLeRを持つMszf35はbasalなプロモーターに対して非常に弱いながら転写を活性化するものの、その活性化にはLeRは必要でないことがわかった。さらにMszf42と49のKRABドメインに結合する蛋白を検索したところ、KAP-1と呼ばれる蛋白がin vitro、in vivoともにMszf42と49と特異的に相互作用すること、またKAP-1をGAL4蛋白DNA結合ドメインとの融合蛋白として、直接標的DNA配列にrecruitすると転写を強く抑制することから、KAP-1がMszf42と49のKRABドメインに結合し、その転写抑制のmediatorいわゆるco-repressorとして機能することを明らかにした(論文投稿準備中)。 今後は、KRABを持つMszf42と49のKAP-1を介する転写抑制の分子機構を詳細に解析を続けるとともに、その細胞生物学的な機能に関しても解析を行っていく予定である。
|