研究概要 |
本研究では、発生や細胞分化に重要な役割を果たしているKruppelタイプZnフィンガー(Kruppel-ZF)遺伝子を系統的に単離し、その転写調節機能を解析することを目的とし、まずPCRに基づく効率のよいKruppel-ZF遺伝子単離法を用いて多数の新規遺伝子を単離した。そのうち2つの新しいKuppel-ZF蛋白(Mszf42/49のちにMRAZ1/2と改名)が、MRAB(Kuppel Associsted Box)と呼ばれる特徴的なドメインを持ち、GAL4DNA結合ドメインと融合させると、MRABドメインとGAL4結合配列に依存して転写を抑制することを見い出した。さらにMRAZ1/2のMRABドメインと、KAP-1(MRAB Associated Protein-1)と呼ばれる蛋白が特異的に結合するとともに、KAP-1自身に強い転写抑制活性があることを明らかにした。そこでKAP-1のKRABとの結合ドメインと転写抑制ドメインを詳細に決定したのちに、KRAZ1/2,とKAP-1が細胞内で機能的に結合しうるかmarmma1ian two-hybrid assayにより検討した。すなわちKAP-1とVP16転写活性化ドメインの融合蛋白を、GAL4KRAZl/2と共発現させると、転写抑制ドメインを欠失したKAP-1変異体では、GAL4-KRAZ1/2によって抑制されていた転写が、逆に顕著に活性化されたのに対して、全長のKAP-1では転写抑制ドメインが優勢に働き、転写は抑制された。これらの結果から、KRAZ1/2,とKAP-1が実際に細胞内で相互炸用し、さらにはKAP-1が、MRAB-ZF蛋白との複合体において機能的なco-repressorとして転写を抑制することを初めて証明した。
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