研究概要 |
1.レニン結合蛋白質(Renin-binding Protein,RnBP) RnBpはレニン活性の阻害のみならず、レニンの分泌制御を行う組織R-A系の制御因子である可能性が示唆され、レニンを中心とする血圧・体液調節に関わる新たな調節機構として位置づけうる新しい因子である。我々は今回、組織レニン・アンジオテンシン系におけるレニン結合蛋白質の発現を検索した。ブタ大動脈由来培養血管内皮細胞株は、10%FCS添加D-MEMでconfluent monolayerを形成し、蛍光標識Dil-Ac-LDLの取り込みが認められた。Northern blot法によりRnBP遺伝子の発現が、またRT-PCR法によりレニン遺伝子の発現が認められた。そこでアンジオテンシンII(AII)では1日後から著しい発現誘導が認められ、それは3日間持続した。TGF-βでも同様の傾向が認められたが、TNF-αでは形態の著しい変化に関わらず、RnBP遺伝子の発現に顕著な変化は認められなかった。 2.D-アミノ酸酸化酵素(DAO) 初代培養細胞におけるDAOの遺伝子の発現は、小脳のみならず大脳由来のグリア細胞でもDAOをコードするmRNAの発現が認められた。そこでD-セリンのDAO遺伝子発現に対する効果を検討した。その結果、大脳皮質由来グリア細胞においては、30mM D-セリン添加後30分で有意の発現誘導が観察された。次に生後のDAO遺伝子の発現レベルを検討した。その結果DAOは、生下時から脳で発現しており、生後は経時的にその発現が変化し、成熟ラットの小脳では大脳の約10倍の発現レベルを示した。更に、これら大脳及び小脳で発現されているDAO mRNAの塩基配列を検討したところ、既に報告しているマウス腎臓DAOと高い相同性を示し、ブタ酵素の活性中心も保存されていた。
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