研究概要 |
我々の教室において、ラット脳より精製・遺伝子クローニングを行った新規イノシトール1,4,5-三リン酸結合蛋白質(130kDa分子)の細胞内における機能解明を目的として、130kDa分子のジーンターゲティングを行いノックアウトマウスを作製する。得られたノックアウトマウスを組織学的・解剖学的・生化学的観点から詳細に回析することで、130kDa分子の生体内における生理的役割について検討することをこの研究の目的とする。 これまでに、130kDa分子のマウスゲノムDNAを129SVJ Mouse Genomic Library より単離した。単離したクローンは長さが17kbpであった。このクローンをpBluescriptベクターにサブクローニングし、制限酵素地図およびDNAシークエンス解析を行った。その結果130kDa分子の機能ドメイン部分(PHドメイン・X,Y両ドメイン)を含むexonを同定した。ターゲッティングベクターの構築は、この部分を完全に欠失するようにし、たとえ130kDa蛋白質が一部発現されたとしても、そのものが活性を持った状態で発現されないように構築した。ポジティブ選別にはプロモーターをつけたneo耐性遺伝子を、ネガティブ選別にはプロモーターをつけたTK遺伝子を使用した。ES細胞の相同組換え体のスケリ-ニングには、PCR法を用い行う。既にスクリーニングを行うPCRの条件は検討済みである。現在、このターゲティングベクターをES細胞にトランスフェクションしセレクションをかけポジティブクローンの選別を行っているところである。
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