研究概要 |
1)ヒトuroguanylin遺伝子の構造決定とプロモーター領域の機能解析 既にクローニングに成功しているヒトuroguanylin cDNAをプローブとして、ヒト胎盤遺伝子ライブラリーより、cDNA全長をカバーするゲノムDNA断片をクローニングし、その構造を決定した。ヒトuroguanylin遺伝子は約2.5kbの範囲に存在し、guanylin遺伝子と同様に3つのexonから構成されており、mature peptide部分はexon 3に含まれていた。5'-隣接領域には、TATAおよびCAATboxを認め、AP-1,AP-2,Sp1,CREの転写調節因子のコンセンサス配列が存在した。また、ヒト大腸癌細胞株でuroguanylin遺伝子が発現していることを確認しており、この培養細胞系およびクローニングしたuroguanylin遺伝子プロモーター領域を用いて、uroguanylin遺伝子の発現調節機構の解析を進めている。 2)実験動物のuroguanylin cDNAのクローニングおよびジーンターゲッティングによる機能解析 ラット小腸cDNAライブラリーからラットuroguanylin cDNAのcloningに成功し、その全塩基配列を決定した。ラットuroguanylin cDNAは、全長約530baseで、106アミノ酸よりなる前駆体をcodeしていた。ヒトとラットuroguanylin前駆体のアミノ酸相同性は63%であった。ヒトuroguanylin cDNAとの比較により、ラットuroguanylinのmature formは15アミノ酸よりなると推察され、合成ラットuroguanylinは、T84細胞を用いたbioassayにて、実際に生理活性を有していた。Northern blotを用いて遺伝子発現を解析した結果、uroguanylin遺伝子は主として腸管に発現していたが、guanylin遺伝子の発現を認めない胃,腎臓,膵臓,肺においてもuroguanylin遺伝子は発現しており、両ペプチドは、個々の発現調節を受け、異なる生理的役割を担う可能性が示唆された。さらに、ラットuroguanylin cDNAをプローブとして、マウスuroguanylin cDNAおよび遺伝子のクローニングにも成功しており、今後マウスuroguanylin遺伝子のtargeting vectorを構築し、相同組み換えを用いたgene targeting法によりuroguanylin geneのノックアウトマウスを作製し、uroguanylinの機能解析を進める。
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