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1997 年度 実績報告書

発癌におけるTGF-βシグナル伝達系関連遺伝子の役割

研究課題

研究課題/領域番号 09770113
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

秋山 好光  東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (80262187)

キーワード大腸癌 / HNPCC / 大腸腺腫内癌 / TGF-βII型レセプター / Smad3
研究概要

近年、大腸癌の発癌機構にTGF-βシグナル伝達系の異常が関与していることが明らかになった。遺伝子非腺腫症性大腸癌(HNPCC)や一部の散発性腫瘍ではTGF-β型レセプター(RII)遺伝子の変異が報告されている。またTGF-βシグナル伝達系ではTGF-βRIIの下流にSmad(Smad2、Smad3およびSmad4/DPC4)遺伝子が位置しており、既にSmad2とSmad4/DPC4遺伝子の異常が大腸癌で検出されている。そこで我々は、発癌におけるTGF-βシグナル伝達系関連遺伝子の役割を解明するため、HNPCCおよび散発性大腸癌についてTGF-βRIIとSmad遺伝子を解析した。更にこれら遺伝子の異常と大腸癌の臨床病理学的諸因子との関連性についても検討した。
TGF-βRII遺伝子エクソン3中のアデニン10回の繰り返し部位を解析した結果、HNPCCの腺腫と癌で高率に変異が検出された。従って、TGF-βRII遺伝子の変異は腺腫発生の段階に関与している可能性が推測された。一方、散発性進行大腸癌69例中7例(10%)にこの部位での変異が検出され、それらは全て右側大腸癌であった(p<0.01)。従って、一部の右側大腸癌の発癌機構はHNPCCと同様であることが示唆された。しかし、組織型や深達度などの臨床病理学的諸因子との関連性は認められなかった。更に大腸腺腫内癌16例においてTGF-β/RII遺伝子の全7エクソンを解析し、2例の右側腺腫内癌の腺腫と癌の両者で変異を検出した。
3種類のSmad遺伝子の中で、Smad3遺伝子の変異と発癌との関係は不明である。まず、Smad3遺伝子のゲノム構造が9個のエクソンからなることを明らかにし、大腸癌50例について変異の有無を解析した。全例とも突然変異は検出されなかったが、約10%の癌でのヘテロ接合性の消失が認められた。従って大腸癌におけるSmad3の関与は低いことが示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Akiyama,Y., et al: "Transforming growth factor-β type II receptor gene mutations in adenomas from hereditary nonpolyposis colorectal cancer patients." Gastroenterology. 112. 33-39 (1997)

  • [文献書誌] Akiyama,Y., et al: "Germline mutation of the hMSH6/GTBP gene in an atypical hereditary nonpolyposis colorectal cancer kindred." Cancer Research. 57. 3920-3923 (1997)

  • [文献書誌] Akiyama,Y., et al: "Frequent somatic mutations of hMSH3 with reference to microsatellite instability in hereditary nonpolyposis colorectal cancers." Biochem Biophys.Res.Commum.236. 248-252 (1997)

  • [文献書誌] Akiyama,Y., et al: "Genetic alterations are frequent in APC but rare in the TGF-β type II receptor gene in cancer in adenomas of the colon." Cancer Letters. (in press). (1998)

  • [文献書誌] Arai,T., et al: "Genomic structure of the human Smad3 gene and its infrequent alterations in colorectal cancers." Cancer Letters. 122. 157-163 (1998)

  • [文献書誌] Yagi,O., et al: "Proapoptotic gene BAX is frequently mutated in hereditary nonpolyposis colorectal cancers but not in adenomas." Gastroenterology. 114. 268-274 (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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