研究概要 |
3か月以内に退縮を認めたつぎの皮膚腫瘍、congenital selfhealing reticulohistiocytosis 2例、eosinophilic granuloma1例、CD56+ natural killer(NK)cell lymphoma1例のホルマリン固定パラフィン包埋標本を用いて、アポトーシスの有無を検索した。いずれの症例も、強拡大(x400)、hematoxylin-eosin(HE)染色において、3個以上の腫瘍細胞のapoptotic change(核クロマチンの濃縮、好酸性の胞体)を認めた。また、CD56+NK cell lymphomaにおいては、massiveなzonal tumor cell death(従来、coagulative necrosisといわれていたもの)を見た。in situ nick translation procedureにても、HE染色で同定されたものと、ほぼ同様の細胞に陽性所見を認めた。CD56+ NK cell lymphomaのmassive zonal tumor cell deathの病変においても、陽性所見をみとめた。また、電顕的観察を行うことができたCD56+NK cell lymphomaは,分断化し凝縮したクロマチンを持つ核を有する細胞をみとめ、形態学的にアポトーシスと考えられた。また、腫瘍細胞のいくつかは、酵素抗体法によりFas陽性であった。これらのことより、上記の皮膚腫瘍の退縮において、Fasリガンドを経由したアポトーシスが一つの役割を果していると考えられた。また、皮膚CD56+NK cell lymphomaにおけるmassive zonal tumor cell deathは、apoptosisによるものと考えられた。今後、周辺浸潤単核球由来のTNF-αないし、幾つかのcytolytic effector(perforin,granzyme B9,granule membrane protein TlA1)と、アポトーシスとの関連の検索を予定している。
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