研究概要 |
日米前立腺癌の比較検討により、前立腺臨床癌に特異的な染色体変異部位を同定するため、日米前立腺臨床癌の症例採集をおこなった。インフォームドコンセントを得た後、前立腺針生検あるいは、前立腺全摘組織より、新鮮凍結標本を作製し、各症例からDNA、RNAを抽出した。さらに三重大学病理学第二講座の協力を得、日本人前立腺癌症例100余例を収集した(ホルマリン標本のものを含む)。一方米国人前立腺癌については、現在Dr.William C.Allsbrook,Jr.(Associate Professor,Medical Collage of Georgia)の協力のもと、鋭意採集中である。Dr.Allsbrookの研究室では、differential display法の基礎実験を継続進行中であり、2〜3カ月の後には、前立腺癌症例を用いた日米比較開始の予定である。 この間に、日本人前立腺癌症例を利用して、平成9年9月にクローニングされた、新しいp53類似遺伝子であるp73遺伝子の突然変異解析を行った(千葉がんセンター研究局生化学部との共同研究)。その結果、前立腺癌106例においては、p73遺伝子の突然変異は発見されなかった。一方RNA解析により、前立腺癌のp73遺伝子発現レベルには差があることが、推測された。以上の結果をまとめ、Cancer Research誌に投稿したところ、受理された(現在印刷中)。
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