S19リボソーム蛋白2量体と補体C5a間の共通抗原性 S19リボソーム蛋白2量体は、抗ヒト補体C5ウサギポリクローナル抗体ビーズに吸収されたので、S19リボソーム蛋白2量体は補体C5aと共通の抗原エピトープを持つものと考えた。そこで、阪大微研の竹田先生より供与を受けた抗ヒト補体C5aマウスモノクローナル抗体を用いて、補体C5aを指標としたS19リボソーム蛋白2量体の免疫沈降実験を行った。予想通り、S19リボソーム蛋白2量体の抗ヒト補体C5aマウスモノクローナル抗体に対する免疫学的挙動は、補体C5aと同様であった。次に、このことが、S19リボソーム蛋白の架橋化に依存するものであるかどうかを検討した。S19リボソーム蛋白単量体は、1次構造上補体C5aとは5%以下の相同性しかないように、抗ヒト補体C5aマウスモノクローナル抗体ビーズに吸着しないが、トランスグルタミナーゼを加え2量体となると、吸着した。このことは、S19リボソーム蛋白が、トランスグルタミナーゼ触媒作用により2量体化すると、補体C5aと共通抗原エピトープを獲得することを意味する。 S19リボソーム蛋白2量体と補体C5aのレセプター S19リボソーム蛋白2量体と補体C5aは、共通の抗原エピトープをもつのであれば、細胞遊走の際のレセプターも共通であり、補体C5aレセプターである可能性が強い。そこで、免疫学的実験のために、福島県立医科大学渡辺先生より抗ヒト補体C5aリセプターマウスモノクローナル抗体を供与いただいた。遊走実験の際に、単球を抗ヒト補体C5aリセプターマウスモノクローナル抗体にて前処理しておくと、S19リボソーム蛋白2量体と補体C5aを作用させても細胞は遊走されなかった。このことより、S19リボソーム蛋白2量体は、補体C5aリセプターリガンドとして作用していると考えた。
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