S19リボソーム蛋白2量体による細胞走化機構 Sl9リボソーム蛋白は、一次元構造上は補体C5aとの相同性は4%程度にも拘らず、トランスグルタミナーゼ作用により架橋2量体化することにより補体C5aと共通の抗原エピトープをもち、細胞遊走の際に補体C5aレセプターを使用する。このことは、好中球上の補体C5aレセプターへの[1125]Boiton hunter labeled-C5aの解離実験より証明した。 S19リボソーム蛋白2量体による単球特異的走化機構 補体C5aにより惹起された単球走化に対してS19リボソーム蛋白2量体はアゴニストとして作用し、好中球走化に対してはアンタゴニストとして作用していることを証明した。Invitroの系では、48ウエルケモタキシスチャンバーを用いて補体C5aにより惹起された細胞遊走能を濃度依存性にS19リボソーム蛋白2量体が、単球走化に対しては相加的に好中球走化に対しては抑制的に作用した。また、invivoの系では、モルモット皮下に補体C5aを投与し12時間後に局所に浸潤する単球と好中球の数を組織標本にて数えた時好中球優位のものであったが、同量のS19リボソーム蛋白2量体を混和することにより単球優位の像に変化した。 S19リポソーム蛋白2量体の発現機構 前骨髄性白血病HL-60細胞を43℃30分の熱処理にてアポトーシスを誘導した場合、24時間をピークに単球を特異的に走化させる因子が産生放出される。抗S19リボソーム蛋白ニワトリIgH抗体および抗インペプチドIgM抗体を用いたバッチ法によりに、この走化因子がS19リボソーム蛋白2量体であることを証明した。
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