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1997 年度 実績報告書

腸上皮細胞のバリアー機能と病態の発生に関する研究-新しい分子モーターbarmotinを中心とした機能解析-

研究課題

研究課題/領域番号 09770155
研究機関札幌医科大学

研究代表者

飛岡 弘敏  札幌医科大学, 医学部, 助手 (90291559)

キーワードタイト結合 / occludin / ZO-1 / barmotin(7H6抗原) / 腸上皮細胞 / Minマウス
研究概要

1.目的
腸上皮細胞間にはタイト結合が存在し、細胞間を通過する物質に対するバリアとして、イオンや蛋白のみならず、細菌や炎症細胞の通過をも制御していると考えられている。腸管におけるタイト結合のバリア機能の失調は、下痢症や炎症性腸疾患の発生につながると考えられる。本研究では、腸上皮細胞タイト結合の細胞間バリア機能の制御のメカニズムを解析し、これらの腸疾患の病態の解析を目指す。
2.方法と結果
(1)我々は共焦点レーザー顕微鏡を用いた、蛍光標識物質の細胞間透過性の半定量法を開発した。これを用いて、培養腸上皮細胞T84での培養条件の変化に伴うバリア機能とタイト結合関連蛋白、occludin、ZO-1、barmotin(7H6抗原)の消長を検討した。その結果、T84細胞のタイト結合でのbarmotinの発現には、細胞のbasolateral sideからの物質供給が必要であることが明らかとなった。さらに、barmotinによって分子量10kD以下の物質の細胞間透過性が制御されることが示唆された。
(2)APC遺伝子変異マウス(Min)は、腸管に多数のポリ-プを生じ、腺癌発生過程の解析に用いられている。Minマウスの空腸ポリ-プでのタイト結合関連蛋白の発現・局在を観察し、同時に、摘出したポリ-プに対する種々の分子量のFITC-dextran溶液の透過性を共焦点レーザー顕微鏡で観察し、タイト結合バリア機能をin situで検討した。その結果、同一ポリ-プにおいて、高分化腺癌部では、各タイト結合関連蛋白の発現は正常小腸上皮とほぼ同様の発現を示し、物質透過性の亢進も認められなかったが、低分化腺癌部では、タイト結合関連蛋白の発現は著明に低下し、物質透過性は選択的に亢進した。このことから、腸腺癌の悪性化過程において、タイト結合関連蛋白の発現異常とタイト結合バリア機能の低下が相関することが示された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Tatewaki,K.et al.: "Cell density regulates crypticity of GM3 ganglioside on human glial cells." Exp.Cell Res.233. 145-154 (1997)

  • [文献書誌] Kimura,H.et al.: "Bacterial lipopolysaccharide reduced intestinal barrier function and altered localization of 7H6 antigen in IEC-6 rat intestinalcrypt cells." J.Cell.Physiol.171. 284-290 (1997)

  • [文献書誌] Yamada-Sasamori,Y.et al.: "Rapid induction of 7H6 tight junotion-associated protein and paracellular barrier function in capillary endothelial cells of porcine brain in vitro by treatment with astrocyte conditioned medium and cAMP." Med.Electron Microsc.30. 8-14 (1997)

  • [文献書誌] Sasaki K.et al.: "Difference in the expression of three tight junction proteins,barmotin,occludin and ZO-1,in phenotypically different human colon cancer cell lines." Med.Electron Microsc.(in press.).

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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