1.ヌクレアーゼの細胞内局在の解析 ヌクレアーゼの大腸菌組み替え蛋白により免疫された動物から得られた血清から抗TbNUC1抗体をアフィニティー精製し、間接蛍光抗体法及びイムノブロットにて細胞内での分布を解析した。これにより、TbNUC1がキネトプラストだけに、局在することが明らかになった。更に、コップ型をしたキネトプラストの口の部分の両極の2点に強い局在を認めた。これは、他の新規に合成されたミニサークルDNA及びDNA合成・分裂に関与する酵素群が存在するDNA分裂複合体の局在に一致しており、TbNUC1がキネトプラストDNAの合成・分裂に関与していることを強く示唆している。 2.大腸菌組み替え蛋白によるインビトロ機能解析 TbNUC1の蛋白全長を大腸菌内で発現させた際、活性は認められなかった。そこで、ウシのエンドヌクレアーゼGとアミノ末端の構造を比較し、ミトコンドリア移送シグナルと想定される部分を除いた部分蛋白を大腸菌に発現させたところ、大腸菌の粗抽出液中に強いDNA分解活性を認めた。リコンビナントTbNUC1は環状DNAも線状DNAも同程度に切断することが判明した。また、TbNUC1は25mMトリス緩衝液pH7.5で50mMKC1で最も高い活性を示し、高濃度のKC1によって阻害された。活性には2価の陽イオンを要求するが、マンガン及びマグネシウムに差は見られなかった。ジチオスレイトールなどの還元剤は要求しなかった。上記の反応条件では認識する核酸配列の特異性は認められていない。
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