研究概要 |
マクロファージの中で増殖できるレジオネラは、マクロファージの殺菌機構に抵抗し、増殖するための手段を備えていると考えられる。活性酸素の一種である過酸化水素は、食胞内での殺菌に重要な働きをしているが、過酸化水素を消去する酵素であるカタラーゼが、レジオネラの病原性においてどのような役割を果たしているか明らかにしようと考えた。 細菌のカタラーゼはいわゆるカタラーゼ(真正カタラーゼ)とぺルオキシダーゼ活性を併せもつカタラーゼ-ぺルオキシダーゼの大きく分けて2種類があるが、L.pneumophilaはカタラーゼ-ペルオキシダーゼ活性のみをもつことが報告されている。そこで今までにアミノ酸配列の明らかになっているいくつかのカタラーゼ-ぺルオキシダーゼで保存されている領域を選び、それを逆翻訳してPCRプライマーを作製し、L.pneumophilaの染色体を鋳型としてPCRを行ったところ、増幅産物が得られたので、それをプロープとして .カタラーゼ-ペルオキシダーゼ遺伝子のクローニングを行った。解析の結果からLp neumophilaのカタラーゼ-ぺルオキシダーゼ遺伝子は他の細菌の染色体には存在しないシグナル配列をコードするユニークなものであった(下記のkatAに相当する)。1998年にBandyopadhyayとSteinmanにより、L.pneumophilaのカタラーゼ-ペルオキシダーゼ遺伝子は2つ存在(katA、katB)することと、そのうちのkatB遺伝子の配列が報告された(J.Bacteriol,180:5369)。KatBは通常の細菌型のものであった。したがって今回クロー二冫グされたカタラーゼ-ぺルオキシダーゼ(KatA)は通常の細菌型のものに加えて存在するものであり、分泌型蛋白質であるという点からも病原性への関与に興味が持たれる。
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