研究概要 |
p17蛋白がはたして持続的に感染細胞表面に認識できるかを検討するため、CEMと、U937の細胞にHIV-1_<LAI>を感染させ、細胞表面に存在するp17・gp120分子のそれぞれに対する抗体の反応性を検討した。また、細胞内のそれぞれに同一の抗体を反応させた。一方、同一時期の細胞から産生されるHIVの量を定量した。 p17蛋白は、7日頃から明らかに感染CEM細胞内に認められ、以後、28日に強度が減少するまで、3週間前後同様の蛍光強度が観察される。この傾向は、p24・gp120についても同様であった。また、U937に感染させた場合も同様であった。一方、細胞表面の分子に抗体を反応させたところ、CEM表面分子に反応した結果示された蛍光強度は、11日目と36日目とでは、大きく異なった。11日目の感染細胞表面に認められる分子は、P17,p24,gp120のいずれについても、36日目と比較し、著しく蛍光強度が強かった。ところが、この感染細胞をFlowcytometryで解析したところ、顕微鏡観察とは、異なる結果となった。輝度は、Gp120の方が、p17に対するよりも著しく大きい。おそらくは、gp120分子は多数の細胞表面にあるのに対し、p17はその一部の細胞に限って、表面に現れているためであろう。Flowcytometryにおいて、細胞の大きさによりpopulationを絞らないで観察した場合は、絞った場合と比較し、感染細胞表面にp17について、輝度の極端に強いピークを別に得ることができる。この原因は、損傷を受けた細胞の内部に抗体が結合している可能性を示唆している。これまでに、感染細胞表面に抗体と結合する分子を特定した報告が、いくつかあるが、感染細胞の損傷の度合いによっては、細胞内部の分子に結合していることを考える必要もあることになる。これらの結果より、今後は、gp120が表面に検出されるが、p17は検出されない細胞と、ともに検出可能な細胞の違いについて言及する。
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