研究概要 |
ヒトヘルペスウイルス6B(HHV-6B)の前初期遺伝子U17/U16は感染後比較的早い時期に発現し早期遺伝子の発現と関連を有することが推測されている。この遺伝子産物はヒト免疫不全ウイルスのLTRをtransactivationすると言われているが、その感染細胞中での機能については全くわかっていない。U17/U16は334残基から成り、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)のUs22ファミリーを特徴づけている4つのモチーフを全て有するが、これ以外にはC末端にacidic blocを有するのみで特徴的な配列をもたない。そこでU17/U16遺伝子産物の機能を明らかにするために、この4つのモチーフと結合する因子の同定をyeast two-hybrid systemを利用して試みた。 U17/U16遺伝子産物(5aa-322aa)をbaitとしてHHV-6B感染ヒト末梢単核球から作製したcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより結合する因子を単離した。興味深いことにウイルス側の因子は同定されなかった。同定された因子はSMRT(silencing mediator of retinoid and thyroid hormone receptors),mitosin(CENP-Fと同一の遺伝子からalternative splicingにより生じてくる)、及びunknown geneであった。現在、これらの因子が実際にU17/U16遺伝子産物と結合するかどうかをin vitro binding assay,confocal microscopy,co-immunoprecipitationにより検討中である。
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