研究概要 |
TGFβ型受容体セリン・キナーゼの細胞外領域とヒトIgG定常領域のキメラ蛋白を3種類作製・精製し、機能阻害活性を検討した。TGFβタイプII受容体・ヒトIgGキメラ蛋白(TGFβRII-IgG)は、培養血管内皮細胞において、5ng/mlのTGFβによる細胞外基質蛋白の転写活性誘導を50ng/mlで完全に抑制した。BMPタイプIA受容体-ヒトIgG(ALK3-IgG)は、MC3T3-E1(骨芽細胞)、PA6(脂肪前駆細胞)等の骨、軟骨、脂肪細胞等の多分化能細胞において、20ng/mlのBMP4によるアルカリ・フォスファターゼ活性誘導を濃度依存性に抑制し、1mg/mlで完全に阻害する活性を有していた。一方、アクチビンタイプIB受容体-ヒトIgG(ALK4-IgG)は、アクチビンによる転写活性には、影響を与えなかった。 未分化多能性幹細胞(ES細胞)から細胞外基質蛋白でコートしたシャーレの使用やストローマ細胞株OP9との共培養により、Flk-1(fatal liver kinase-1)陽性の血液細胞、血管内皮前駆細胞を誘導する実験系を開発したが、BMP4が、この系において、細胞増殖を阻害することにより、分化誘導を制御することを見いだした。 ラットにおいて脳組織、特に、前脳、基底核、小脳で高い発現が見られる、新規受容体型セリン・キナーゼを同定した。 アクチビンの細胞内情報伝達とその負の制御機構を検討し、細胞外から、follistatin 315,288,inhibinが、細胞内においては、Smadファミリーの内、Smad7が、アクチビンによる転写活性を抑制することを見出した。follistatin315,288の阻害活性濃度(ED50)は、1オーダー程度異なっており、その機序を検討中である。
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