研究概要 |
Global LEA(Lower Extremity Amputation)Studyは,非外傷性下肢切断の発生率を,地域調査,すなわちpopulation-based studyによって国際比較するために1995年に開始された.わが国では1995年7月1日から1996年6月30日までに,栃木県(人口1982565人)において,非外傷性下肢切断の発生率を検討した.国際比較のため,いくつかの情報源を組み合わせて,統計学的に症例の把握率を補正し,発生率を推定する方法すなわちCapture-recapture(C-R)法を用いた.第一の情報源は,県下の外科または整形外科を標榜する病院,診療科とし,郵送法による調査を行った.第2の情報源としては,身体障害者手帳交付のための資料を用い,C-R法を応用した.栃木県における非外傷性下肢切断症例は,病院調査より24例,身障者手帳資料より45例集計され,両情報源での重複は10例であった.C-R法によって推定した非外傷性下肢切断発生率は,5.3/10万人で,従来の欧米からの報告と比べ,著しく低値であった.糖尿病患者では,栃木県58.2/10万人で,一般人口集団に比べ,約11倍であった. 以上よりPopulation-based studyによって,わが国の非外傷性下肢切断発生率を検討したところ,従来の欧米からの報告と比較して,一般人口集団で.約5分の1,糖尿病患者集団では約6分の1の低値を示した.しかし近年の糖尿病患者の有病率の上昇や食生活の欧米化による動脈硬化性疾患の増加により,今後,糖尿病性足病変そして下肢切断発生率も欧米の水準に近づく可能性も否定できず,今後とも監視が必要であると思われる.次年度は,対象期間をさらに1年間延長する事によってデータの安定化をはかり,今後の国際比較に耐えうる成績を報告する予定である.
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