本研究は、開発した無拘束姿勢計測装置を用いて日常生活下における高齢者の姿勢状態の長時間計測を行い、要介護老人と健常者との比較を通して、寝たきり防止のための客観的なリハビリテーションに関する基礎的知見を得ることを目的としている。 今年度の研究概要は次の通りである。 1.健常成人および健常高齢者を対象として姿勢の長時間無拘束計測を行い、装置の測定制度および信頼性・安定性について実験的に検討し、装置の実用性を確認した。 2.在宅の健常高齢者、および入院、あるいは老人保健施設入所中の高齢障害者、合計8名を対象として、日常生活下における姿勢を無拘束で取得した。得られた姿勢データより、各被験者の日常生活の活動性を1日の生活における各種姿勢のとる割合や姿勢変化の頻度から検討した。 3.病院入院患者の場合、在宅者や老人保健施設入所者に比べて歩行や立位といった活動姿勢が少なく、休息座位や臥位といった休息姿勢をとることが多いうえ、姿勢変化も少なかった。 4.在宅では家族と同居しているか単身かにより、日常の姿勢・活動に大きな差が見られた。 上記結果より、平成10年度は下記の通り研究を遂行する予定である。 1.在宅加療中の高齢者を対象にデータ収集を続け、在宅下での生活リズムの特徴を見いだす。 2.1をもとに活動性を向上せしめ早期離床を促進するリハビリテーションの実際等について検討する。
|