1. 在宅加療中の高齢者を対象とした日常生活下における姿勢解析 在宅加療中の高齢者を対象に、日中約10時間の無拘束姿勢計測を行った。対象者は年齢70代・80代の女性4名である。各被験者に対して午前8時から午後6時までの10時間の姿勢変化を測定間隔0.2秒で測定・記録した。得られたデータから各人の姿勢ヒストグラムを求めるとともに、動画表示の解析から各被験者の歩行回数及び歩行時間、姿勢の変化数、各肢位での休息時間等を求めた。 その結果、高齢者の日常生活下における行動や活動性というものが客観的に評価可能であることが確認されるとともに、家族構成、家屋構造、立地条件などを含めた生活環境の違い以上に、人生観や生活信条の差異による姿勢の種類や頻度、活動性に大きな差が見られることが客観的に示された。 2. 寝たきり防止をめざすリハビリテーションの検討 上記をふまえ、老人病院入院中の高齢患者の生活環境、および生活信条、人生観等の情報から、週間スケジュール、日課等の調整により在宅に近い状況を作るアプローチを実施し、有効な結果を確認することができた。 何らかの障害を持つ高齢者の治療に際して「寝たきり」状態を惹起させないためには、障害の回復状況に応じて患者の生活環境をも考慮すべきであることが確認され、生活スタイル、生活信条をも把握したリハビリテーションプログラムの必要性が示された。
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