研究概要 |
1)中高年女性における隠れ肥満の判定基準 本来,「隠れ肥満」は,BMI等でみた体重は大きくないが,体脂肪率などで判定する体脂肪の蓄積が過剰であることで判定する。中高年女性では,体脂肪率の標準値が確立していない。本研究室で過去に測定したデータ(39名分)を検討すると,BMIの平均値は約23であるのに対し,体脂肪率は1/3にあたる13名が35%を,10%以上にあたる5名が40%を越えていた。若年女性の体脂肪率が24%程度であることを考えると,体脂肪率の平均値は約10%も増加していることがわかる。したがって,肥満の判定基準もそれにあわせて,若年者の30%から40%程度とすることも考えられた。今後の測定結果を加えて,体脂肪率の分布を把握し,より信頼のおける基準値を作成する予定である。 2)安静時代謝を含めた測定 中高年,特に閉経後女性の隠れ肥満者における,体脂肪および筋の分布や安静時代謝,体力との関連を明らかにすることを目的として研究を進めている。ただし,本研究費の交付決定は平成9年度の秋であったが,安静時代謝には季節変動がみられるため,測定は春と秋に行うのが適当と判断し,平成10年3月から測定を開始したところである。具体的には,BSF200を用いたSF_6ガス希釈法による全身の体脂肪量・除脂肪量,多周波インピーダンスによる体水分量,超音波診断装置による皮下脂肪厚や筋厚,安静時代謝,ロ-パワーの指標として自転車エルゴメーターを用いた最大酸素摂取量,ハイパワーの指標としてサイベックスを用いた膝関節の筋力等を測定している。また,食事調査やカロリーカウンターによるエネルギー摂取量や消費量も測定している。
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