高齢者における「寝たきり」の原因として、バランス能力の低下による転倒が重要である。その評価に関してはFunctional Balance Scaleなどの機能的評価方法が開発されてきているが、本邦の高齢者において、信頼かつ妥当な評価方法であるかは明らかではない。そのため、本研究においては、高齢者に対して、機能的バランス能力を評価・測定し、その信頼性・妥当性を検討することを目的とする。特に今年度においては、日常生活動作能力などに関する調査用紙の作成と健常高齢者を対象に下肢筋力や機能的バランス能力などの測定に関する予備研究を行い、来年度に行う本調査・測定の方法を決定することを目的とし、下記の項目を実施した。 1 高齢者の歩行能力・日常生活動作能力・日常生活関連動作能力・転倒既往・健康状態に関する調査用紙を検討し、作成した。 2 下肢筋力について、徒手筋力測定評価器にて下肢等尺性筋力を測定し、make testにて股関節屈曲、伸展、外転、膝関節屈曲、伸展、足関節背屈、底屈筋力を測定することとした。 3 重心動揺について、重心動揺解析システムにて立位時重心動揺を測定し、Romberg肢位での開眼、閉眼条件での静的重心動揺と前後、左右への動的重心動揺を測定することとした。 4 機能的バランス能力について、Functional reach test、Get up and go test、Functional Balance Scalを測定し、個々の測定条件を決定した。 以上の内容をもとに、来年度、高齢者を対象に本調査・測定を実施し、機能的バランス能力評価の信頼性と妥当性(構成概念妥当性、基準関連妥当性)を検討する。
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