今年度は、下記に述べる調査を行い、以下の中間的成績を得ている。 1.一般妊婦集団におけるGBV-C/HGV感染率の把握 1990年から1992年の間に松山赤十字病院産科を受診した1766例の妊婦を対象とし、妊婦検診時の保存血清を用いGBV-C/HGV RNAおよびHCV抗体、HCV RNAの検出を行なった。GBV-C/HGV RNAは1766例の妊婦うち11例(0.6%)に、HCV RNAは21例(1.1%)に検出された。このうち3例にHCV GBV-C/HGVとの重複感染例であった。 2.HCVとGBV-C/HGVとの重複感染妊婦から生まれた児の追跡調査および母子感染成立の要因に関する検討 HCVキャリア妊婦95例の中から見出されたHCVとGBV-C/HGVとの重複感染妊婦7例およびその児7例を対象として、母子感染成立の有無を調査した。その結果、この7例の母親から生まれた児7例中4例(57.1%)の生後6ヶ月目の保存血清中にGBV-C/HGVが検出された。また出産時の母親の血中GBV-C/HGV RNA量を測定し10^7以上を示した2例ではいずれも児に感染が成立し、10^<5-6>を示した4例中2例に感染が成立していたが、10^<2-3>を示した1例では感染が成立していないことが明らかとなった。 以上のことから、わが国の一般妊婦集団の中の低率ながらGBV-C/HGV感染者が存在し存在することが明らかとなった。HCVとの重複感染したGBV-C/HGV感染妊婦から出生した児ではHCVと比較した高頻度に母児感染が成立するという成績が得られている。なお、GBV-C/HGVの母子感染が成立した児は現在追跡中である。
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