本年度は、行成区単位別の疾患年齢調整死亡率を算出し、ロンドン大学のP Elliott教授と今後、小区域保健統計システムに応用するのに必要な指標(健診結果、栄養調査結果や社会経済指標など)についての検討を行った。 1990(平成2)年人口動態統計特殊報告による全国平均値と比較するためには、1990年の横浜市行政区別(16区)、疾患別男女別年齢階級別死亡数が必要だったが、資料は入手できなかった。そのため1991、92、93年の横浜市行政区別。男女別人口統計、及び横浜市衛生局保健部地域保健課が保管する同年の横浜市行政区別・疾患別男女別5歳年齢階級別死亡数を基礎資料とし、各行政区ごとの老年人口割合、虚血性心疾患、急性心筋梗塞、心不全の粗死亡率、各年齢調整死亡率を算出した。心疾患全体の基礎資料がなかったため、虚血性心疾患と心不全の総和について検討した。年齢調整死亡率の算出に当たっては、基準人口を昭和60年日本人モデル人口とした直接法を用いた。1年ごとの変動を少なくするために1991、92、93年の3年分の横浜市行政区別・心患別男女別5歳年齢階級別死亡数の合計および同年の横浜市行政区別男女人口統計を利用した。 横浜市全体及び行政区別・男女別各心疾患年齢調整死亡率を横浜市全体で見ると、男女とも虚血性心疾患と急性心筋梗塞が全国平均と比較して高く、心不全は低い。虚血性心疾患と心不全の総数では全国平均との間にほとんど差は無い。各行政区間での地域差は著しく、虚血性心疾患と急性心筋梗塞では、中央部・旧市街部の中区で著明に高かった。中区は老年人口割合、各心疾患粗死亡率も高いが、年齢調整を行ってもその傾向は変わらなかった。中区の男性は、虚血性心疾患では最低値の緑区と比べ1.6倍、急性心筋梗塞では対金沢区比1.7倍であった。心不全では最高値の西区男性は、最低値の栄区男性と比較し2倍であった。
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