予防医学を推進していく上で、生活習慣と健康状態の関係を解析し、明確にしていくことは健康指導に有益な基礎資料を提供する。毎日の生活習慣を考える場合、朝食の摂取状況を中心とした朝の生活習慣が個人の1日の生活全体に少なからず影響を与えていることが予想される。そこで本研究では朝の生活習慣に焦点を絞り、主観的な自覚症状および客観的な検査データの両面から健康状態を評価し、朝の生活習慣と健康状態との関係を明らかにし、健康増進に寄与できる資料の作成を目的にしている。対象は神奈川県の地域自治職約1300名である。平成8年2月と8月、平成9年2月と8月に実施された定期健康診断の検査結果および平成8年2月を除く他の定期健康診断時に実施した朝の生活習慣に関する自記式質問票調査の結果との関係をPC-SASを用いて統計学的に解析を行った。朝の生活習慣に関して調査した項目は睡眠時間、起床時間、朝食の頻度、朝食の種類、朝食の所要時間、通勤時間である。定期健康診断の検査結果に関してはBMI、収縮期血圧、拡張期血圧、血中脂質濃度、空腹時血糖値に注目した。睡眠時間、起床時間、朝食所要時間、通勤時間なども検査成績およびその季節変動と有意な関係を認めたが、特に朝食の頻度および朝食の種類と検査成績およびその季節変動との間にいくつかの有意な関係を認めた。朝食の頻度に関しては中性脂肪濃度とその季節変動、HDLコレステロール濃度と密接に関係しており、毎日規則的に朝食を摂取する群において望ましい結果が得られている。また、朝食の種類に関しては米食中心の群がパン食中心の軍に比べて中性脂肪濃度において望ましい結果が得られている。今後この職域コホートを追跡調査することによって、朝の生活習慣が健康状態にどのように関与しているかを明らかにしていくつもりである。
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