研究概要 |
石綿の代替品として様々な人造鉱物繊維(man-made mineral fiber:MMMF)が開発され,その生産量も急増してきている.しかし,従来,安全と考えられてきたMMMFの中には,石綿に匹敵する発癌性を持つものがあることが指摘されている.鉱物繊維の持つ生態影響を最終的に確認するには、実験動物に対する長期吸入曝露実験で確認をする必要がある.欧米において発癌性が報告されているセラミック繊維およびチタン酸繊維(チタン酸カリウムウィスカ)の長期(1年間)吸入曝露実験を実施中である.曝露期間中のラットの死亡は認められておらず,吸入曝露そのものは順調に進行している.予定通り12ヶ月間の吸入曝露の後に,解剖を行う予定である.検討項目としては申請の通り,吸入された繊維の排泄機構(繊維の主要成分の分析,肺内残留繊維本数,肺内繊維の形状の変化)および肺の病理変化(肺の繊維化と発癌性の有無)について検討を行う予定である.なお,肺内に残留する繊維形状の計測に関しては,大学共同利用の走査型電子顕微鏡に画像処理装置が接続されたため,電子顕微鏡の画像がパソコン上で処理が可能となった.予備実験を行ったところ,従来の印画紙に上に焼き付けられた写真からの計測と,パソコン上の計測では同程度の精度であることがわかった.繊維の排泄の指標となる繊維形状の変化に関しては,パソコンを用いた計測に変更する予定である.
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