研究概要 |
本研究は,1)パーキンソン病(PD)患者の創造性と自尊感情を健康中高齢者(NC)及び整形疾患患者(DC)と比較する,2)PD患者の創造性と自尊感情,運動機能障害,日常生活活動の関係を検討することを目的とした.評価はS-A創造性検査(Fluency,Flexibility,Originality,Elaboration),Rosenbergの自尊感情スケール(SES),Mini-Mental State Examination(MMSE)及び改訂版長谷川式簡易痴呆スケール(HDS-R),Unified Parkinson's Disease Rating Scale(UPDRS)を用いた. 対象はPD患者40名(65.08±7.10歳),NC57名(64.07±9.45歳),DC17名(65.00±11.08歳)であった.診断と年齢,及び診断と性の2要因分散分析の結果,いずれもFluency,Flexibility,Elaborationに年齢,及び性の主効果が認められ,創造性は加齢により低下し,男性は女性より有意に高い得点を示した(Fluency:t=2.11,p<.05).診断による差は認められなかった. Total UPDRSと年齢,性の3要因分散分析の結果,Fluency,ElaborationにはT-UPDRSと年齢の交互作用が認められ(それぞれF_<(1.27)>=6.31,P<.05;F_<(1.27)>=6.81,P<.05>,ElaborationはHDS-R及びUPDRSの知的機能と弱い相関が認められた(それぞれt=.37,P<.05;t=.39,P<.05)ことから,PDの運動機能や日常生活活動と創造性の関連性は少なく,知的機能との関連を推測した.一方SESはUPDRSの自覚症状及び特殊症状と比較的強い相関が認められた(それぞれr=.41,P<.05;r=.50,P<.01). 今後,創造的な活動がPDの創造性と自身感情にどのように影響を及ぼすかを検討する.
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