平成2年1月1日から平成5年12月31日までの凍死例80例と、それ以後平成8年12月31日までの死後経過時間の比較的はっきりしている事例、解剖例より、以下の研究を行った。 (平成9年度) 1.外気温氷点下での死体温降下速度についての研究 凍死体で、死後経過時間の比較的はっきりしているものを用いて、(1)プラス温群、(2)0℃〜-9℃、(3)-10℃以下の3群に分け、死体温降下速度を明らかにする。これにより氷点下での死後経過時間の推定を確実にした。 2.凍死の剖検例(1)各臓器の熱ショック蛋白(Ubiquitin蛋白)の出現についての研究 凍死で死亡した10例の剖検例について各臓器を免疫染色にてUbiquitin蛋白の出現を調べ、その意義について明らかにした。 3.心臓の左右心室血の色調の差についての研究 検屍及び解剖より得た左右心室血を用いて、オキシメーターによりPO_2、PCO_2を測定し、その出現頻度、外気温との関係、成因について明らかにした。 4.胃・十二指粘膜下の出血(Wischnewski斑)の有無と、外気温の関係を明らかにし、その出現頻度を明らかにした。 5.矛盾脱衣(Paradoxical undressing)についての研究 凍死例についてのそ出現頻度を明らかにした。
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