研究概要 |
まず、ABO式血液型を決定する糖転移酵素cDNAの261番、526番を含む領域をPCR法で増幅した。プライマーの塩基配列はLee and Changの報告によった。PCR産物を熱変性後、冷却し、ヘヤピン構造を形成させた。Cleavase反応後、変性ポリアクリルアミド電気泳動を行った。その結果、261番を含むPCR産物では、A, B遺伝子とO遺伝子を区別でき、この結果は制限酵素Kpn Iを用いたPCR-RFLP法による結果と一致していた。また、526番を含むPCR産物ではA, O遺伝子とB遺伝子を区別でき、この結果は制限酵素BssH IIを用いたPCR-RFLP法による結果と一致していた。新しい多型(塩基配列)は現在のところ、見出されていない。 次にMN式血液型の遺伝子型決定について検討した。プライマーの塩基配列は中屋敷らが報告したprimer cfwおよびprimer MNを用いた。PCR法で得られた309bpの増幅産物を熱変性、冷却、cleavase反応の後、電気泳動を行った。MN式血液型既知の試料について検討した結果、MおよNの違いを識別することができた。M^GおよびM^Tの識別はできなかった。これは中屋敷らが報告したSSCP法による結果と一致していた。Corfieldらが報告したallele specific oligonucleotide primer (ASOP)を用いたPCR法によるMN式血液型判定法では、血痕からのM型特異的配列増幅ができなかったが、今回のCFLP法では実験的に作製した新しい血痕についてM型の判定も可能であった。 Duffy式、GC型、C8型については現在、至適条件を検討中である。 次年度はABO式血液型を中心にCFLP法、SSCP法、PCR-diret sequencing法について比較し、それぞれの特徴、利点、欠点を明らかにする予定である。
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