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1997 年度 実績報告書

体位による窒息死に関する基礎的研究-逆さ吊りの際の呼吸・循環の経過-

研究課題

研究課題/領域番号 09770296
研究機関山形大学

研究代表者

内ヶ崎 西作  山形大学, 医学部, 助手 (30223548)

キーワード体位関連性窒息 / ウサギ / 法医学 / 異状死体
研究概要

【実験方法】ウサギ(体重2〜4.5kg)をペントバルビツールで麻酔し動物実験固定台に仰臥位で固定した後、心電図(ECG)、脳波(EEG)、血圧(BP)、胸腔内圧(ITP)の各センサーを取り付け、そのまま数時間放置して麻酔の影響が消失してから固定台ごと逆さにして実験体位(逆さ吊り)とした。仰臥位固定時をコントロールとして、経時的にECG〔心拍数(HR)を含む〕、EEG、BP、ITP〔呼吸数(RR)を含む〕の変化を観察するとともに、動脈血を採取して血液ガス、すなわち動脈血酸素分圧(PaO_2)、動脈血炭酸ガス分圧(PaCO_2)を測定した。死亡後、必要に応じて解剖した。【結果】逆さ吊りの直後はHR、BPが増加するものの、その後HR、BPは次第に減少し、逆さ吊りにしてから17-44時間、平均26時間で全例が死亡した。RRは逆さ吊りにより増加してその後は死亡直前までほとんど変化しなかった。ITP曲線を見ると、逆さ吊り直後には波形は大きくなったが、その後少しずつ小さくなった。また、逆さ吊りにすることによって級気相の延長が見られた。血液ガス分析では、PaO_2は増加しPaCO_2は減少し、死亡直前にPaO_2は減少しPaCO_2は増加した。実験後のウサギには、胸郭が上下に圧迫され、腹部が細長くなるという体形の変化が見られた。解剖したものについて、諸臓器には特に明らかな変化はなく、脳のうっ血のさほど著明では無かった。【考察】逆さ吊りの体位は、腹腔内臓器重量が横隔膜を通して胸腔を圧迫する。従って呼吸運動、特に胸郭を広げる吸気運動が阻害される。RRの増加、級気相の延長はこの事を反映したもので、その結果過呼吸となってPaCO_2が減少し、当初は十分なPaO_2も確保されたものと考えられる。しかし、そのうちに呼吸筋が疲労して呼吸が浅くなり(ITP波形の縮小)、最終的には窒息を起こして死亡したものと考えられる。今後、更にデータを追加し、考察を加えたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 鈴木庸夫、 内ヶ崎西作、 高橋弘志: "ある逆さ吊りの死因をめぐって" 法医学の實際と研究. 第40巻. 159-165 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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