今年度は、マウスαβT細胞TCRレパトワ解析法の開発した。すなわち、はじめにマウス末梢リンパ球からRNAを抽出しcDNAに変換し、cDNAの3'末端をオリゴdGテーリングした。そしてTCR遺伝子cDNAを5'末端をビオチン化したTCRBC領域特異的アンチセンス鎖プライマーとオリゴdGと相補的なアンカー・センス鎖プライマーないしBV特異的プライマーで増幅、このPCR産物をアビジンを共有結合させたELISAプレートのウエルに固相化した。プレートをアルカリで洗浄して、ビオチン化されたPCR産物アンチセンス鎖のみをプレート上に残し、標識TCRBVないしBJ遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドプローブでハイブリダイゼーションを行い、洗浄後、peroxidase標識抗ディゴキシジェニン抗体と基質を加えて発色させた。得られたOD値をもとに各遺伝子の使用頻度を求めたところ、極めて再現性のよい解析法が確立された。 次に、各種の近交系マウスを用いて、末梢TCRレパトワを比較した。近交系マウスとして用いたものは、MHC遺伝子のみが異なるマウスとMHC遺伝子のみが同じでその他の遺伝子は同じマウスである。この結果、 1)遺伝的に同一のマウスは、極めて均一なレパトワを持ち、レパトワが強い遺伝支配の下にあることが証明された。さらに、 2)各種の近交系マウスのレパトワの比較の結果、MHCの非MHCの遺伝支配があることが明らかにされた。
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